2010年7月25日日曜日

毎日がクリスマスなら/IF EVERYDAY WAS LIKE CHRISTMAS


毎日がクリスマスなら/IF EVERYDAY WAS LIKE CHRISTMAS

1966年のエルヴィスを探して見る。「ハワイアン・パラダイス」「カリフォルニア万才」とマンネリが顔を出す。それにしても「ハワイアン・パラダイス」ではパンパンに膨れ上がったエルヴィスに驚く。ブヨブヨでなく風船みたいにパンパン。そういうわけでもないだろうが、エルヴィスは風船のように空を飛ぶ。ボクはこの映画が結構気に入っていて、最後のおおらかを総動員した「ハワイアンドラムソング」が大好きだ。

 ハワイのそっくりさんパフォーマンスでもクライマックスにこの曲をやる。ハワイでは一番ふさわしい幸福な瞬間だ。思えばエルヴィスはサンタクロースみたいだ。エルヴィスに限らず誰だってやる気になればサンタになれる。ワイキキのビーチではスヌーピーを背負った、サンタのサーファーが5歳くらいの女の子にサーフィンの手ほどきをしている。都会の片隅では、クレージーなおっさんが恋の手ほどきをしている。それもいいんだ。その彼女が幸福で、その先も幸福になれるのならね。それがサンタの流儀だ。毎日がクリスマスなら、みんな幸せなんだから。もしかしてエルヴィスはこの年の11月に<毎日がクリスマスなら>を歌うためにパンパンに太っていたのかも知れない。

鐘の音が聞こえる
クリスマスの訪れをつげる音が
世界中に鳴り響く
今は喜びの季節と

聖歌隊の歌声が聞こえる
やさしく歌う歌声が
ほのかな光が胸の中に灯り
平和な気分にみたされる

なぜ僕らは毎日を
クリスマスのように過ごせないのだろう
この気持ちが続かないのはなぜ
もしも毎日がクリスマスなら
きっと素敵な世の中

こどもの声が聞こえる
サンタに願い事をする声が
小さな顔にうかんだほほ笑みは
かけがえのない宝物

なぜ僕らは毎日を
クリスマスのように過ごせないのだろう
この気持ちが続かないのはなぜ
もしも毎日がクリスマスなら
きっと素敵な世の中

l hear the bells
Saying Christmas is near
They ring out to tell the world
That this is the season of cheer

l hear the choir
Singing sweetly somewhere
And a glow fills my heart
l'm at peace with the world
As the sound of their singing
Fills the air

Oh why can't every day
Be like Christmas
Why can't that feeling go on endlessly
For if every day could be
Just like Christmas
What a wonderful world this would be

I hear a child
Telling Santa what to bring
And the smile upon his tiny face
Is worth more to me than anything

Oh why can't every day
Be like Christmas
Why can't that feeling go on endlessly
For if every day could be
Just like Christmas
What a wonderful world this would be

ジャケットのエルヴィスは、太ってないようだが、これは「アカプルコの海」の画像だと推測する。映画のエルヴィスはパンパンでかわいい。

2010年5月27日木曜日

桂小金治アフタヌーンショー

桂小金治アフタヌーンショー

キャスターの変遷は
初 代:榎本猛(当時NETアナウンサー) 1965年4月5日~1966年1月28日
2代目:桂小金治 1966年1月31日~1973年8月3日
3代目:山田吾一 1973年8月6日~11月
4代目:馬場雅夫(当時NETアナウンサー) 1973年11月>~1974年3月1日 
5代目:川崎敬三 1974年3月4日~1985年10月18日

『アフタヌーンショー』の後を受けて、川崎敬三さんで『新・アフタヌーンショー』というのもあったそうです。エルヴィス・プレスリー他界の速報は川崎敬三さんのときにやったことになりますね。記憶されていますか?

 さて、1966年1月31日から登場した桂小金治さんですが、ボクは松竹映画で見たことがあります。時代劇ですが、当時東映の看板スター中村錦之助さんとプライベートで親しくされていたように記憶しています。情報源は多分「平凡」とか「明星」とかです。いろいろワイドショーがあったと思いますが、「桂小金治アフタヌーンショー」が記憶にあるのは、見ていたからではなく、泣く、怒る・・・感情を率直に態度で表現するキャスターとして有名だったからです。

 2010年のいま、人も、事件も、政治も、報道も随分と感情的な時代です。いい意味ではありません。気持ち悪い時代です。小泉元総理の人気も手伝ってか、激しく訴求する政治家が増えていますが、劇画的で幼稚さを感じます。事件もそうです。桂小金治さんが感情的な表現をするといっても質が違う。

 古い映画。原節子さんとか、佐田啓二さんとかが出演している映画を見ていると、30代でも大人でしょう。いつから幼く見えるようにするのが主流になったのか。感情の扱い方が若く見えることと比例しているのは不相当です。アフターヌーンが似合う大人がすてきです。

2010年5月15日土曜日

日曜洋画劇場

 「日曜洋画劇場」が始まったのはこの年のこと。毎週日曜日の21時から放送されている映画番組。最初の約1年間は土曜日だったそうだ。1966年10月1日 がその始まりだ。

 この頃は、ビデオもなく、優れた洋画を楽しめる唯一の番組で、なにより解説の淀川長治氏の話と「サヨナラ」が魅力的だった。

 淀川長治氏は、1909年4月10日、神戸に生まれる。1933年にUA(ユナイテッド・アーティスツ)の大阪支社に入社したのを皮切りに映画人生がスタートした。

1936年(昭和11年)2月には、来日したチャーリー・チャップリンと会談。1938年に「モダン・タイムス」宣伝強化のために東京支社勤務。ジョン・ウェインを一躍スターにしたジョン・フォード監督の傑作『駅馬車』の宣伝も担当した。以後、『駅馬車』は淀川氏の思い入れは広く知られた。

1941年12月の日米開戦後。1942年に東宝映画の宣伝部に転職、1947年に雑誌『映画の友』に入社、編集長として腕をふるった。

「日曜洋画劇場」では、解説の終わりにする独特の挨拶「それでは次週をご期待ください。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ...」は淀川氏を強く印象づけた。

1998年11月11日午後8時11分、腹部大動脈瘤破裂による心不全で死去した。享年89。障害独身で人生を映画に捧げた人だった。映画が輝いていた時代を生き抜いた。その存在は映画を観るものにとっても幸福だった。

 日本では何もかも乱暴になっていくが、テレビでの映画放映もその代表例のひとつだ。BS、CSを別にすれば現在のテレビにおける映画の扱いはひどいもので、監督が観れば「これは私の作品ではない」と憤慨するものが大半だろう。淀川長治氏がタッチしていた「日曜洋画劇場」にもその傾向がないとは言えないが、それでもいまのように酷いものではなかった。
プロがいた時代だった。

 どの世界にも、いまでもプロがいるが、いまは悪いことを平気でする。プロが信用できない時代だ。

淀川長治氏が選んだ究極の映画ベスト100は以下の作品だ。(後ろは監督)

イントレランス/D・W・グリフィス
散り行く花/D・W・グリフィス
キッド/チャールズ・チャップリン
愚なる妻/エリッヒ・フォン・シュトロハイム
十誡/セシル・B・デミル
ロイドの要心無用/サム・テイラー、フレッド・ニューメイヤー
チャップリンの黄金狂時代/チャールズ・チャップリン
キートンのセブン・チャンス/バスター・キートン
戦艦ポチョムキン/セルゲイ・M・エイゼンシュテイン
メトロポリス/フリッツ・ラング
嘆きの天使/ジョセフ・フォン・スタンバーグ
自由を我等に/ルネ・クレール
街の灯/チャールズ・チャップリン
雨/ルイス・マイルストン
グランド・ホテル/エドマンド・グールディング
或る夜の出来事/フランク・キャプラ
大いなる幻影/ジャン・ルノワール
駅馬車/ジョン・フォード
風と共に去りぬ/ヴィクター・フレミング
邂逅 (めぐりあい)/レオ・マッケリー
チャップリンの独裁者/チャールズ・チャップリン
果てなき船路/ジョン・フォード
レベッカ/アルフレッド・ヒッチコック
市民ケーン/オーソン・ウェルズ
疑惑の影/アルフレッド・ヒッチコック
我が道を往く/レオ・マッケリー
荒野の決闘/ジョン・フォード
美女と野獣/ジャン・コクトー
赤い靴/E・プレスバーガー、M・パウエル
自転車泥棒/ヴィットリア・デ・シーカ
ママの想い出/ジョージ・スティーヴンス
第三の男/キャロル・リード
サンセット大通り/ビリー・ワイルダー
羅生門/黒澤明
河/ジャン・ルノワール
恐怖の報酬/アンリ・ジョルジュ・クルーゾー
禁じられた遊び/ルネ・クネマン
西鶴一代女/溝口健二
ライムライト/チャールズ・チャップリン
シェーン/ジョージ・スティーヴンス
終着駅/ヴィットリオ・デ・シーカ
七人の侍/黒澤明
夏の嵐/ルキノ・ヴィスコンティ
道/フェデリコ・フェリーニ
エデンの東/エリア・カザン
旅情/デビッド・リーン
死刑台のエレベーター/ルイ・マル
戦場にかける橋/デビッド・リーン
大いなる西部/ウィリアム・ワイラー
大人は判ってくれない/フランソワ・トリュフォー
太陽がいっぱい/ルネ・クレマン
甘い生活/フェデリコ・フェリーニ
かくも長き不在/アンリ・コルピ
処女の泉/イングマール・ベルイマン
素晴らしい風船旅行/アルベール・ラモリス
ウエスト・サイド物語/ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンス
突然炎のごとく/フランソワ・トリュフォー
アラビアのロレンス/デヴィッド・リーン
奇跡の人/アーサー・ペン
鳥/アルフレッド・ヒッチコック
野のユリ/ラルフ・ネルソン
コレクター/ウィリアム・ワイラー
アポロンの地獄/ピエル・パオロ・パゾリーニ
暗くなるまで待って/テレンス・ヤング
2001年宇宙の旅/スタンリー・キューブリック
ジョニーは戦場へ行った/ダルトン・トランボ
ベニスに死す/ルキノ・ヴィスコンティ
ゴッドファーザー/フランシス・フォード・コッポラ
ポセイドン・アドベンチャー/ロナルド・ニーム
スケアクロウ/ジェリー・シャッツバーグ
家族の肖像/ルキノ・ヴィスコンティ
ザッツ・エンタテインメント/ジャック・ヘイリー・ジュニア
ジョーズ/スティーブン・スピルバーグ
アニー・ホール/ウッディ・アレン
ブリキの太鼓/フォルカー・シュレンドルフ
ディーバ/ジャン=ジャック・ベネックス
アマデウス/ミロス・フォアマン
カオス・シチリア物語/パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ
冬冬の夏休み/ホウ・シャオシェン
カイロの紫のバラ/ウッディ・アレン
グッドモーニング・バビロン!/パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ
ザ・デッド 「ダブリン市民」より/ジョン・ヒューストン
八月の鯨/リンゼイ・アンダーソン
ラストエンペラー/ベルナルド・ベルトルッチ
霧の中の風景/テオ・アンゲロプロス
コックと泥棒、その妻と愛人/ピーター・グリーナウェイ
ニュー・シネマ・パラダイス/ジュゼッペ・トルナトーレ
フィールド・オブ・ドリームス/フィル・アルデン・ロビンソン
髪結いの亭主/パトリス・ルコント
シェルタリング・スカイ/ベルナルド・ベルトルッチ
シザーハンズ/ティム・バートン
アダムス・ファミリー/バリー・ソネンフェルド
テルマ&ルイーズ/リドリー・スコット
さらばわが愛 覇王別姫/チェン・カイコー
ナイトメアー・ビフォア・クリスマス/ヘンリー・セレック
ピアノ・レッスン/ジェーン・カンピオン
日の名残り/ジェームズ・アイヴォリー
オリーブの林をぬけて/アッバス・キアロスタミ
スモーク/ウェイン・ワン
キッズ・リターン/北野武

 ここには、M.Mも、B.Bも、C.Cも入っていないし、「冒険者たち」「初恋の来た道」もない。ベスト100なんてものは好みがあるから人によって違うのは当たり前だ。

 それにしても、つまり、淀川長治氏は映画を通して「良心」を観ていたんだよ。良心の問題だと言う前に良心があったんだ。それが自由と言うもんだ。

2010年4月22日木曜日

アイル・ビー・バック



アイル・ビー・バック

クリスマスが来て映画館にエルヴィスが帰ってきた。
ジャンプスーツの背中しか見えなかったのに、突然こちらを振り向いたような気がして、なんとなくこちらがバツが悪いのは忘れていたからか。
なにはともあれ、クリスマス・シーズンに大スクリーンで、没後30年を迎えて熱唱しているのだから、すごいとしか言いようがない。

クリスマスだから、楽しい歌を聴きたい。
24日は、天気も悪く、どんよりした空を見ていると、気が滅入った。
バタバタと仕事をしているにしても、天気が悪いと気が滅入る。
せっかくのクリスマス・イブだから、映画館の「エルヴィス・オン・ステージ」に対抗してホーム・ロードショウだ。

我が家のシーツのスクリーンでは、「ハレム万才」「カリフォルニア万才」「スピードウェイ」豪華3本立マラソン上映。

いいな、エルヴィスはいいな。それに、このなんとも内容のない映画ならではの楽しさが、たまらなくいいなと思う。だからこそエルヴィスが目立つ。それでいのだ、天下泰平の気分になれる。それは<スイムで行こう><ボサノヴァ・ベイビー>に代表されるように、メッセージなんてないけれど、それ以上に強いメッセージを内包することになった曲たち。エルヴィスの魂を通過して、古来から人々が愛してきた歌と踊りの力が気持ちいい。

どれも見せ場があるが、特にカリフォルニア万才」のファイナル・シーンが好きだ。

♪“アイル・ビー・バック“とエルヴィスが唱う。

隣のドラムを叩いている女の子がカッコいい。
映画の途中でも、目立っていた娘。きれいでかわいい。エルヴィスを引き立てている。エルヴィスを喰うように奮闘しているのは新人ゆえの野心か目立っていて、かわいい。彼女はその後、どんな人生を送ったのか少し気になる。場面の愉しさが、何もかも吹き飛ばす。エルヴィスの取ってつけたような振り付けが拍車をかける。

1966年、当時は<アイル・ビー・バック>は<ひとりに戻ろう>と邦題がついていた。