2011年12月23日金曜日

毎日がクリスマスなら / If Everyday Was Like Christmas





毎日がクリスマスなら / If Everyday Was Like Christmas

1966年6月にナッシュヴィルRCAスタジオでバラードの傑作である<アイル・リメンバー・ユー><青い涙>と共にレコーディング、ゴスペルの名盤「HOW GREAT THOU ART」の先陣を切って、その年の11月にシングル盤として<ハウ・ウッド・ユー・ライク・トゥー・ビー>をB面にしてリリースされた。

メンフィス・マフィアのひとりで、エルヴイス映画にもいろいろなところで登場したレッド・ウエストと、サックスプレーヤーでもあるグレン・スプリーンの共作によるニュー・クリスマス・ソンクーパラード。じっくりと味わえる素晴らしい作品に仕上がっている。

鐘の音が聞こえる
クリスマスの訪れをつげる音が
世界中に鳴り響く
今は喜びの季節と


聖歌隊の歌声が聞こえる
やさしく歌う歌声が
ほのかな光が胸の中に灯り
平和な気分にみたされる


なぜ僕らは毎日を
クリスマスのように過ごせないのだろう
この気持ちが続かないのはなぜ
もしも毎日がクリスマスなら
きっと素敵な世の中


こどもの声が聞こえる
サンタに願い事をする声が
小さな顔にうかんだほほ笑みは
かけがえのない宝物


なぜ僕らは毎日を
クリスマスのように過ごせないのだろう
この気持ちが続かないのはなぜ
もしも毎日がクリスマスなら
きっと素敵な世の中


エルヴィス映画「ヤング・ヤング・パレード」の一場面
























l hear the bells
Saying Christmas is near
They ring out to tell the world
That this is the season of cheer

l hear the choir
Singing sweetly somewhere
And a glow fills my heart
l'm at peace with the world
As the sound of their singing
Fills the air

Oh why can't every day
Be like Christmas
Why can't that feeling go on endlessly
For if every day could be
Just like Christmas
What a wonderful world this would be

I hear a child
Telling Santa what to bring
And the smile upon his tiny face
Is worth more to me than anything

Oh why can't every day
Be like Christmas
Why can't that feeling go on endlessly
For if every day could be
Just like Christmas
What a wonderful world this would be


▼グレイランドをバックに歌う幻想的なエルヴィス。プレスリー






<毎日がクリスマスなら>はエルヴィス・プレスリーのキャリアの中でも大して重要な扱いになっているわけではない。それでもこの曲は名曲<明日への願い/IF I CAN DREAM>と同質のメッセージを持っている。

<THE WONDERFUL WORLD OF CHRISTMAS>がアルバム・タイトルになったのと同じように、この<IF EVERYDAY WAS LIKE CHRISTMAS>もアルバム・タイトルになったことからも推測できるように、共に優れた仕上がりになっている。アメリカでは共にシングル・カットされているが、日本盤はなし。クリスマスに対する意識の違いがマーケティングの違いになったのだろう。

Oh why can't every day
Be like Christmas
のパートではエルヴィス・プレスリーの人柄と人へのまっすぐな視線を感じて熱くなる。

やはり胸に迫るのは
I hear a child
Telling Santa what to bring
And the smile upon his tiny face
Is worth more to me than anything

こどもの声が聞こえる
サンタに願い事をする声が
小さな顔にうかんだほほ笑みは
かけがえのない宝物
のパートだ。


大人にはなんてことのない一日でも、こどもにはとっては毎日が大きな感動の日々。
宝物を壊す者も昔は小さな顔に微笑があった時もあったのに。
人は何かをするから尊いわけではない。勉強ができてもできなくても、金持ちでも貧乏でも、関係ない。こどもの毎日に大きな感動があるのは条件なんてないから。それを大人が条件をつけていく。身体的、精神的、霊的に条件をつけていき、条件が人の心を傷つけていく。クリスマスには誰も条件なんてつけないからほほえみがあふれる。
愛するのに、愛されるのに、条件なんていらない。


人が失いがちなものを思い出させるように熱唱が胸に迫る。
たとえ邪悪なものが心に宿っていたにしても、それをぶっ飛ばすような気魄だ。

紙ジャケット・シリーズでもリリースされた最初のクリスマスアルバム(ダブル・ジャケット)は、ロックンローラーらしい仕上がりで永遠の1枚になっているが、年月を経て落ち着いたしっとりしたエルヴィスはまた格別のものがある。

伝説のシッドダウン・ショーなどでその一部を知ることができるエルヴィス・プレスリースの本来の類稀なる才能からすれば、この楽曲程度は鼻歌程度のものでしかないだろう。その意味で、この曲を高く評価することは誤解を招いてしまうが、それでも胸打ち続けているのはなんだろう。

しかしそんなことを忘れて、エルヴィスが仕上げてくれた毛布を楽しもう。この<毎日がクリスマスなら>の温かさの中で少し寒さをしのごう。
そしてこどもたちには寒い思いをさせないように、少しばかり知恵を働かそう。

そう思った自分は、10.11後のニューヨークの雪の降る街を、この曲を再生しながらラジカセを持って歩いたことがある。





















IF EVERYDAY WAS LIKE CHRISTMAS

毎日が無理でも、毎日数時間ならクリスマス・タイムを持てるかもしれない。
奇跡の一日は誰の手元にも必ずある。



メリー・クリスマス。Very Very Merry Christmas