2015年6月3日水曜日

Drums Of The Islands / ハワイアンドラムソング




Drums Of The Islands / ハワイアンドラムソング

ハワイの島の早朝。
まだ夜の濁りを含んでいるにしても空気が真新しい。

誰もいない浜辺。少女がひとり。
やがて手を振り顔には隠せない初々しい微笑みが浮かぶ。朝の空気に似合っている。

どこからともなくサーフボードを手にした白い髭のサンタクロース、スヌーピーを背負っている。

ボードを波に預け、赤い服のまま自分を乗せる。

波とともに沖に進んでいく。
赤い服はどこまでも濡れない。
少女の夢はキープされていく。
その後を少女が追う。
人生は素晴らしい。

理屈ばかりの退屈なんかいらない、欲しくない、見たくない。

欲しいのはリアルでエロスな人生、欲しいのは宙を浮くリラックス。

時代を下って下って1956年、次に何が飛び出すか分からないラディカルでアナーキーな音源も映像もここにはない。

にもかかわらず「エルヴィス映画」・・・硬いほほえみのスチール写真。ねつ造された虚構にあって、声の匂いにエルヴィス伝説を探す。

人間は壊れるもの、それゆえに無条件の優しさが沁みる。



エルヴィス式パラダイス、その大事を時間や偏った固定的な価値観、超えてバイブレーション。

エルヴィス・プレスリー、その歌声に匂う無条件の優しさがいい。いい。いい。精神の昇天。復活する洗いざらしの気持ち。ハワイアン・ブルーが似合う。

人を幸福にできる人間の素敵、個別の曲の云々、映画の云々、身の周りの云々、超えて、ただただそこにいる無条件のエルヴィスが素晴らしい。だからこそ無条件の優しさが香る。






エルヴィス・ファンをもってしてエルヴィス映画をけなし、歌をけなす。

それもよし。しかし人を癒し、幸福にして<ハワイアン・ドラムソング>の雄大は微動ともしない。

人にはそれぞれの記憶と現実があって、どんなにつまらなく聞こえる歌でも宝島より宝島ということもあるからしてなにより素敵にして素敵。

ドナ・バターワーズとの楽しいデュエットだった<クイーニ・ワヒニのパパイヤ>に、幼き子との交流をだぶらせる人もいるだろう、

やはりマリアナ・ヒルとのデュエットだった<かゆい背中をかき合おう>に愛しい微笑を蘇らせる人もいるだろう。

いいねえ、いいねえ、ジュ~ワ~ッ。人生は素晴らしい。人生は素晴らしい。リアルに勝る夢もなければ歌もない。


聴こえるか、キングの声が・・・「君はなにかをするから素敵なのではない。ただそこにいるだけで素敵なのだ」とアプローチするベクトルが仕込まれた90分、キングのヘリコプターに乗ってみないか?DVD映像の<ハワイアン・ドラムソング>に叩かれてみたい。興奮。

キングに逢いたい



人を幸福にできる人間が
もっとも偉大なのだ。



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